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2020 03 15

イソジンうがいの盲点!

こんにちは。

カダラボ薬剤師記事担当ゆうです。

今回はイソジンについて、とても意外な実験事実を紹介します。

それは、

「イソジンより水道水の方が風邪予防になる」

です。

また、記事を読み進めると、イソジンを水で薄めるのにも理由があることがわかりますのでお楽しみに。

うがい薬としてのイソジン

うがいといったら、昔から当たり前のように使ってきたイソジン。

これほど浸透している薬もないと思います。

しかし、ある研究によると、風邪の予防にイソジンは使わない方がいいのではないかと報告されています。

えっ?

どういうことでしょう?

イソジンの作用

イソジンの殺菌作用

まずは、イソジンの殺菌作用を解説します。

イソジンはポビドンヨードに含まれる「ヨウ素」の酸化作用を利用した薬です。
(下図:ポビドンヨード)

ローマ字「I」で示されるのがヨウ素です。ヨウ素分子はI2と書かれますね。

図ではI3‐(マイナス)となっていますが、これが水と反応するとI+(プラス)となります。
(ヨウ素のもつ電気がマイナスからプラスになるというイメージです)

水と反応して生成されたI+というのは、とにかく酸化力(相手を酸化させる力)が強い!

これによって、菌を倒すことができるというわけです。

イソジンの殺菌条件

イソジンは水と反応することで殺菌効果が出ることがわかりました。

このことから、水で薄めないと効果を発揮しないことがわかります。
(原液のまま使ってはいけないということです)

さらに、酸化力の強いI+が生成されてから無くなるまでのことを考えると、水で薄めてすぐ使うのではなく、

・10秒程度経ってから使うのが最も効果的である

と考えられています。

イソジンの弱点

そんなイソジンですが、酸化力(殺菌力)が強い故、弱点があります。

それは、のどにいる「良い菌」まで殺してしまうことです。

このことが、風邪の予防に大きく関わっているのではないかと言われています。

イソジン・水道水比較実験

ここからが本題です。

①イソジン
②水道水
③何もしない

の3群で、どれが一番風邪の予防に効果があるのか調べた実験があります。
(Satomura K. Am J Prev Med. 2005;29:302-7)

なんと、②水道水が最も良い結果でした。

意外ですね!

水道水には殺菌用に塩素が含まれているので、それが良かったのではないかとされていたと思います。

イソジン・水道水・アズレン比較実験

別の実験では、

①イソジン
②水道水
③アズレン

の3群で、どれが一番風邪の予防に効果があるのか調べました。
(ネット上では見つかりませんでしたが、明治に資料請求したことがあります)

ここで③アズレンとは、収斂(しゅうれん)作用(=炎症を抑える)のある物質のことです。
アズノールうがい液・AZうがい液など、青色のうがい薬としてよく使われています。

結果は、①イソジン<②水道水<③アズレンでした。

これもまた面白いですね!

殺菌作用のあるイソジンより、炎症抑制作用のアズノールの方が予防になるみたいです。

そのため、アズノールうがい液を処方する医師は多いと思います。

イソジンを使うべきときもある

風邪の予防でイソジンを継続的に使うことは避けるべきですが、感染予防といった殺菌作用を期待して使う場合など、イソジンが有利な状況もあります。

処方されたイソジンは、自己判断でやめないようにしましょう。

まとめ

・風邪の予防には水道水で十分
・アズレンが含まれたうがい液は、より効果的
・イソジンが必要な場面もあるので、医師の指示がある場合は従いましょう。

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