ロキソニンの賢い選び方
こんにちは。
カダラボ薬剤師記事担当ゆうです。
痛み止めに使われる「ロキソニン」。
CMでもよく目にしますね。
頼りにしている人も多いのではないでしょうか。
そのロキソニンですが、市販では3種類販売されています。
その違いってわかりますか?
それぞれの特徴を知ることで、より安全に使うことができます。
それでは見ていきましょう。
ロキソニンとは?
市販されている
ロキソニンは現在、「第一類医薬品」として市販されています。
薬剤師のいる薬局・ドラッグストアなら、医師の診察無しで買うこともできます。
もちろん医師に処方してもらうこともできます。
何に効くのか
その効果は、優れた鎮痛作用です。
頭痛や腰痛、骨折痛などあらゆる痛みを抑えることができます(抑えられない痛みもあります)。
さらに、痛みだけではなく熱を下げる作用も強いです。
なぜこんな作用があるのか、興味があれば後述の「作用機序」をみてくださいね!
市販薬のロキソニンの違い
現在市販されているロキソニンは、3種類あります(第一三共HPより)。
・ロキソニンS(青)648円
・ロキソニンSプラス(ピンク)698円
・ロキソニンSプレミアム(ゴールド)698円
どれを選んだらよいのか迷いますよね。
それぞれの共通点と相違点を見ていきます。
共通点
1錠あたりの主有効成分(ロキソプロフェン)量は同じ
どれを選んでも、痛み止めの成分量は変わりません。
すなわち、痛みを抑える力はほぼ同じです。どれを選んでも変わりません。
迷ったら一番安い「ロキソニンS(青)」を買えば良いと思います。
いや、こだわりたいという場合は、プラスαの特徴を参考にしてください
相違点
ロキソニンS(青)
有効成分(ロキソプロフェン)のみ入っています。
ロキソニンSプラス(ピンク)
有効成分(ロキソプロフェン)
+
胃を保護する薬(酸化マグネシウム)が入っています。
ロキソニンSプレミアム(ゴールド)
有効成分(ロキソプロフェン)
+
胃を保護する薬(メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)が入っています。
+
痛み止めの補助(アリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェイン)が入っています。
どれにする?
●ロキソニンSプラス(ピンク)には、胃を保護する薬(酸化マグネシウム)が入っています。
これにはきちんとした理由があって、ロキソニンは胃に負担がかかる場合があるからです。
(興味があれば、後述の「作用機序」をみてくださいね!)
胃の負担を軽くするために、あえて胃薬を混ぜているのです。
と、メーカーや店員は説明するでしょうが、いささか疑問もあります。
胃を保護する薬(酸化マグネシウム)の量が圧倒的に少ない(33.3mg)。
医療用では500mg程度使います。
本当に胃を保護する作用が現れるのか心配です。
水を多めに飲むとか、飲んだあとに軽く食べるなどするほうがよっぽどいいと思います。
●ロキソニンSプレミアム(ゴールド)には、胃を保護する薬と、痛み止めの補助薬が入っています。
ピンク同様、胃の負担を軽くするために、あえて胃薬を混ぜているのです。
また、より効果を求める人のために、痛み止めの補助薬を混ぜているのです。
と、メーカーや店員は説明するでしょうが、これまた疑問もあります。
痛み止めの補助(アリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェイン)に、どのくらいの効果があるのかわかりません。
ロキソニンの効果の方が圧倒的すぎて、痛み止めの補助薬を混ぜた程度で効果が本当に変わるのかと考えてしまいます。
しかも、眠気を催す作用も認められており、服用後の運転や機械作業は禁止するようになっています。
(なんと第一三共HPには、「念のため、当日中の運転はしないでください」とまで書いてある!)
私なら、このようなリスクのあるロキソニンSプレミアム(ゴールド)をあえて選ぶことはありません。
ロキソニンS(青)を飲んで効果がなかったら、医師に診察してもらったり、別の痛み止めを試すor休薬する方がいいと思います。
薬剤性頭痛(痛み止めを飲み過ぎることにより引き起こされる頭痛。薬をやめると治ることがある。)の可能性もありますし、治らないようであればプロに診察してもらうことも大切です。
まとめ
・どのロキソニンでも、痛み止めの量は全く同じ
・プラスやゴールドをあえて選ぶ理由はあまりない
・痛みが治らなければ、医師か他の痛み止め・休薬を検討する
(おまけ)ロキソニンの作用機序
ロキソニンには、痛み止めのほかに、解熱作用もあります。
また、副作用として胃が荒れることがあります。
これらの作用は、ロキソニンの作用機序を見れば全て関連付けて理解することができます。
まず痛みを抑える作用機序をみていきます。
痛いと感じるのは、プロスタグランジン(PG)という物質が関係しています。
この物質は、体内でアラキドン酸(AA)という物質から生成されます。
アラキドン酸(AA)———————————–>プロスタグランジン(PG)⇒痛い!
このようにプロスタグランジン(PG)を作るのが、シクロオキシゲナーゼ(COX)です。
アラキドン酸(AA)———————————–>プロスタグランジン(PG)⇒痛い
↑COX
ロキソニンはシクロオキシゲナーゼ(COX)を邪魔することで、結果としてプロスタグランジン(PG)が作られなくなります。
アラキドン酸(AA)——————–×————–>プロスタグランジン(PG)減る⇒痛くない!
↑COX ←ロキソニン
しかし、プロスタグランジン(PG)には痛みを引き起こすだけではなく、熱をあげたり、胃粘膜を保護するものがあることもしられています(PGE1、PGE2、PGI2などたくさん種類がある)。
そのため、ロキソニンによって痛みが治まり、熱も下がり、胃が荒れやすくなるというわけです。
また、プロスタグランジン(PG)が関係しない痛み(例えば内蔵痛)にロキソニンが効かないことも理解できますね。