牛乳アレルギーと使えない薬
こんにちは。
カダラボ薬剤師記事担当ゆうです。
今回は、子供のアレルギーで最も多いものの一つである牛乳アレルギーと、牛乳アレルギーを持っている人が使わない方が良い薬をまとめました。
アレルギーとは?
アレルギーの分類
まずアレルギーについて見ていきましょう。
本来免疫反応は、異物の侵入から自分の体を防ぐためのものです。
(↑異物の侵入を防いでいる図)
しかし、何らかの原因で免疫が過剰反応し、異物だけでなく自分にも傷害してしまう状態をアレルギーと言います。
アレルギーは大きくⅠ型~Ⅳ型に分けられますが、今回扱う牛乳アレルギーはⅠ型アレルギーなので、これを中心に見ていきます。
Ⅰ型アレルギー
Ⅰ型アレルギーは「即時型」とも呼ばれ、数分~数十分でアレルギー反応を起こします。
アレルギー物質(アレルゲン)を摂取することで、アレルギーを引き起こす物質(ヒスタミンやセロトニンなど。ケミカルメディエーターと言います)が体中に広がります。
わかりやすくするために牛乳に限定すると、
牛乳を飲む
↓
牛乳の成分がヒスタミンなどのアレルギーを起こす物質を大量に放出させる
↓
アレルギー反応が起こる
↓
息苦しくなったり蕁麻疹が起こる
ケミカルメディエーターによって、
・気管が収縮する⇒息苦しくなる
・血管透過性アップ⇒蕁麻疹
・分泌物アップ⇒鼻水
といったことが起こります。
花粉症のように比較的軽症なものもあれば、牛乳アレルギーやアナフィラキシーショックのように生命に関わるものもあります。
牛乳アレルギーの人が使えない薬
さて、ここからは、牛乳アレルギーの人が使わないほうがいい薬について見ていきます。
製造に牛乳由来成分を使用
薬自体に牛乳由来成分を使用している薬が該当します。
・ラックビーR
・エンテロノンR
・コレポリーR
これらは乳酸菌を粉にしたものです。
小児だと、抗生剤(菌を倒す薬)を飲む時に一緒に出されることが多いです。
なぜかというと、抗生剤は腸の良い菌まで倒してしまうので、腸内バランスが崩れてお腹を下しやすくなるからです。
そこで、乳酸菌のような善玉菌を薬として飲むことで、抗生剤の副作用を抑えようとします。
したがって、溶連菌で熱が出たり、気管支炎などで抗生剤をもらうときには、注意しておきましょう。
添加物にカゼインを使用
牛乳由来のタンパク質であるカゼインを使用している薬が該当します。
・タンニン酸アルブミン、タンナルビン(下痢止め)
・エンシュア(経口栄養剤)
・ラコールNF(経口栄養剤)
・エネーボ(経口栄養剤)
・ミルマグ錠(胃薬・便秘薬)
牛乳アレルギーは、このカゼインが原因と考えられています。
栄養剤なので比較的高齢者が使用することが多いため、あまりアレルギーは起こらないですが注意が必要です。
乳蛋白が含まれる
以下のインフルエンザ時に使われる吸入薬が該当します。
もしかしたら耳にしたことがあるかもしれません。
・イナビル
・リレンザ
使ってはいけないというわけではないですが、アナフィラキシーが報告されているため注意勧告されています。
病院・薬局に行くときは、必ず卵アレルギーがあることを申告してください。
そうすれば、医師・薬剤師が、この薬を出さないようにしてくれます。
まとめ
牛乳アレルギーは子供に多いです。
そのため、親は人一倍気をつけます。
年齢とともに治る人が多いと言いますが、不安だったら近所の薬剤師や登録販売者に遠慮なく聞いていいと思います。
この記事が、アレルギーを防ぐ一助になれば幸いです。
・牛乳アレルギーはⅠ型アレルギー(即時型)に分類される
・数分~数十分でアレルギー反応が起こる
・整腸剤(お腹の調子を整える薬)には牛乳アレルギーの人が飲んではいけないものがある
・インフルエンザ時の吸入薬は、念のため注意しましょう