レムデシビル承認。気になる効果は?
こんにちは。
カダラボ薬剤師記事担当ゆうです。
2020年5月7日、新型コロナウイルス感染症治療薬として抗ウイルス薬「レムデシビル」が特例承認されました。
それについて現在わかっていることをまとめました。
「レムデシビル」の特例承認
各社新聞の一面にもありましたが、「レムデシビル」が特例承認されました。
また、PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)から以下のようなメールも届きました。
□■ PMDAメディナビ ■□
昨日、ベクルリー点滴静注液100mg、同点滴静注用100mgが特例承認され、添付文書及び留意事項通知が、「PMDAにおける新型コロナウイルス感染症対策に係る活動について(関連製品の承認情報)」のページに掲載されましたので、お知らせいたします。
【医療用医薬品】
販売名:ベクルリー点滴静注液100mg
同 点滴静注用100mg
一般名:レムデシビル
製造販売業者:ギリアド・サイエンシズ株式会社
承認日:令和2年5月7日
SARS-CoV-2による感染症を効能・効果とする新有効成分含有医薬品
特例承認とは
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号。以下「薬機法」という。)第 14 条の3第1項の規定に基づき、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するために緊急に使用されることが必要な医薬品として特例的に承認する制度です。
とあります。
本来薬の承認には、有効性に対する大量の治験データが必要となりますが、緊急時に限り特例で承認できる制度です。
そのため、有効性や安全性が確実なものではなく、レムデシビルを使用しながらデータも集めなければなりません。
レムデシビルってどんな薬?
レムデシビルの添付文書(薬の説明書)には以下のように記載されています。
レムデシビルはアデノシンヌクレオシドのプロドラッグであり、加水分解等による代謝を経て、ヌクレオシド類似体の一リン酸体となった後、細胞内に分布し、代謝されてヌクレオシド三リン酸型の活性代謝物を生成する。活性代謝物はアデノシン三リン酸(ATP)の類似体として、SARS-CoV-2 RNA依存性 RNA ポリメラーゼによって新たに合成される RNA 鎖に天然基質 ATP と競合して取り込まれ、ウイルスの複製における RNA 鎖の伸長反応を取り込みから少し遅れて停止させる。
なんのこっちゃという感じですよね。
簡単に言うと、
新型コロナウイルスが増殖するときに使う材料のフリをして新型コロナウイルスに取り込まれることで、これ以上増殖できないようにする
薬です。
レムデシビルの作用機序
レムデシビルを使う前
新型コロナウイルスは体内にある材料(ATPとよばれるもの)を元に増殖します。
レムデシビルを使った後
新型コロナウイルスは、体内にある材料(ATP)と非常によく似たレムデシビルと取り込んでしまい、増殖できません!
ATP(ウイルス増殖の材料)とレムデシビルの比較
構造が非常に似ています。
(少しわかりにくいですが、左右反転すると似ていますね)
レムデシビルは体内で形を変え、さらにATPにそっくりになります。
これにより新型コロナウイルス増殖を抑え、治療効果が期待されているわけです。
まとめ
レムデシビルの効果に期待しつつ、過度な期待をしないようにしましょう。
引き続き一人ひとりの予防が大切になってきます。
力をあわせて乗り切りましょう!