EPA・DHAの作用について
ドラッグストアで気軽に買えるようになったDHA・EPA。
これらには、血栓抑制(心筋梗塞や脳梗塞の原因を抑える)や中性脂肪を下げる効果が知られています。
これらがどのようにして働くか見ていきます。
イヌイットから注目される
魚を多く食べる民族(代表的なのがイヌイット)は、脂質異常症や心筋梗塞などの疾患が少ないことで知られていました。
そこから注目されるようになったのが、魚油に含まれる成分である、EPAとDHAです。
EPAとDHA
それぞれの正式名称は
EPA:エイコサペンタエン酸
DHA:ドコサヘキサエン酸
何やら難しそうな名前ですが、分解すればそうでもありません。
EPA:エイコサ(=20)ペンタ(=5)エン(=二重結合)酸
E:エイコサが20を意味します。
P:ペンタはペンタゴン(五角形)の5ですね。
二重結合は、化学でやったあれです。二酸化炭素CO2→O=C=Oの=の部分です。
A:酸は英語でアシッドなのでAです。
DHA:ドコサ(=22)ヘキサ(=6)エン(=二重結合)酸
D:ドコサが22を意味します。
H:ヘキサはヘキサゴン(六角形)の6ですね。
A:酸は英語でアシッドなのでAです。
つまり、意味としては
EPAは「20個の炭素(C)と5個の二重結合があるもの」
DHAは「22個の炭素(C)と6個の二重結合があるもの」
というだけです。
EPA・DHAはなぜ効果があるのか
EPA・DHAには、心筋梗塞や脳梗塞の原因となる血栓を抑制する作用があります。
その作用を理解するには、血栓が出来る仕組みを知るのが近道です。
作用機序①
ヒトの細胞は「細胞膜」という膜で覆われています。
意外かもしれませんが、ヒトは細胞膜を分解していろいろなものを作っています。
そのうちの一つが、血液を固める作用のあるTXA2です(トロンボキサン2と読みます)。
TXA2が減ると血液の塊である血栓が出来にくくなるわけですが、ここで働くのがEPA・DHAです。
EPA・DHAは細胞膜から出来る物質に非常に似ており、分解されると「TXA3」になります(トロンボキサン3と読みます)。
このTXA3はTXA2とは違い、血液を固める作用が弱いんです。
つまり、EPA・DHAを飲むことで、相対的に血液を固める作用のあるTXA2が減るというわけです。
これにより、血栓予防作用が現れ、心筋梗塞や脳梗塞予防につながります!
作用機序②
もう一つ、中性脂肪(TG=トリグリセリド)を下げる効果もあります。
ヒトは食事を吸収して中性脂肪を作り出しますが、飢餓状態にならないように体内でも中性脂肪を作っています!
中性脂肪を作るには、もちろん材料が必要です。
その材料はヒトの体内にありますが、EPA・DHAはその材料にまたソックリなのです。
つまり、EPA・DHAを飲むことで、ヒトは中性脂肪の材料と間違えてEPA・DHAを使ってしまい、中性脂肪が作られにくくなるというわけです。
これにより中性脂肪減少作用が現れ、脂質異常症予防につながります!
他にも動脈の弾性保持作用を持つことが知られています。
EPA・DHAの注意点
これらを飲む時はご飯の直後にしましょう。
空腹時に飲むと吸収が悪いようです。
また、作用機序①で見たように血液が固まりにくくなるので、手術など外科的処置を受ける予定のある人は必ず医師に相談するようにしてくださいね。