新型コロナウイルスに抗エイズ薬が効いた?
新型コロナウイルスの話題で持ちきりのこの頃。
抗エイズ薬と抗インフルエンザウイルス薬の組み合わせが新型コロナウイルスに効果を示したとニュースになりました。
それらについて少し深堀りしましょう。
コロナウイルスとは?
薬の作用に関係のある部分を見ていきます。
国立感染症研究所のHPによると
ウイルス学的には、・・・コロナウイルス科に分類される。脂質二重膜のエンベロープの中にNucleocapsid(N)蛋白に巻きついたプラス鎖の一本鎖RNAのゲノムがあり、・・・。
特徴
①エンベロープ
まず、ウイルスの外壁とも言える「エンベロープ」というものをもちます。
脂質二重膜とあるので脂質が主成分なのですが、これが重要です。
脂質が主成分なので、アルコールに反応します。
なので、アルコール消毒が有効と言われるのですね。
②一本鎖RNA
新型コロナウイルスもエイズウイルスも「RNA」を持ちます。
※RNA:ウイルスの情報がはいったもの。ヒトのDNAとは少し違うものという認識で大丈夫です。
ウイルスは自分で数を増やすことができないので、人の細胞の中に入って勝手に増えようとします(怖いですね)。
このとき、RNAの情報をもとに、人の細胞の中でウイルスの原料がどんどん作られていきます(★1)。
そして、その原料からウイルスが大量に細胞内で作られ、細胞外に放出されます(★2)。
★1、★2の部分を阻害することで、新型コロナウイルスに効果を示したのではないかと考えられます。
エイズウイルスの増殖方法の詳細
①ウイルスの設計図であるウイルスRNAがヒト細胞内に侵入
②RNAからウイルスDNAが作られる(逆転写といいます)
③ウイルスDNAがヒトDNAの中に挿入されます(組み込みといいます)
④ウイルスDNAの情報から、ウイルスRNAが大量に作られる(転写といいます)
⑤④に加えて、ウイルスの材料も大量に作られる
⑥ウイルスRNAと材料が合体し、大量のウイルスがヒト細胞内に作られる
⑦ヒト細胞内から放出される
今回使われた薬
HIV治療薬(ロピナビルとリトナビル)と、インフルエンザ治療薬オセルタミビル(商品名タミフル)を投与したと報道されています。
HIV治療薬(ロピナビルとリトナビル)
これらの薬は、★1細胞内でウイルスの材料を大量に作り出す ことを阻害します。
エイズウイルスと新型コロナウイルスの増殖の仕組みが似ていたのでしょうか。
インフルエンザ治療薬オセルタミビル(商品名タミフル)
とても有名な薬、タミフルです。
これは、★2増えたウイルスが細胞内から放出される ことを阻害します。
インフルエンザの場合、タミフルを飲むことで、これ以上ウイルスが増えなくなり、完治に向かうということです。
新型コロナウイルスもタミフルで放出されなくなったのでしょうか。
まとめ
今回の報道では3種類の薬の効果が大きく取り上げられました。
しかし、副作用(胃腸障害などがあります)や、耐性ウイルス(薬が効かないウイルス)の危険性については全くといっていいほど触れられていません。
新規感染者・死亡者ばかり目に付きますが、回復したり症状が無いことも報告されています。
WHOはパンデミックではないと言っています。
むやみに薬に期待するのではなく、健康な人は免疫を高める体作りを継続することが大切ではないでしょうか。